大分県伐株山‐巨木伝説
豊後の国風土記で、玖珠郡の地名の由来として昔あった巨大なクスノキに因むと記されています。
またこの地方の民話に、昔巨大なクスノキがあって、この地はほとんど日が当らなかった。それで困った住民はクスノキを伐り倒してしまった。その名残が伐株山であると。
ちょっと詳しく
昔々、玖珠盆地に天にもとどきそうな大きなクスノキがありました。田畑は大木の陰になって作物も育たず、村人はたいそう困っておった。「なんとかあのクスノキを伐り倒すことはできないものか」村人はくる日もくる日も相談したそうな。そして、腕自慢のきこりに頼んで伐ってもらうことにした。
きこりは仲間5人と共に、暗くなるまで鋸を引いていました。暗くなって家に帰り翌朝来てみると、驚いたことに昨日暗くなるまで伐った切り口が見つかりません。仕方ないので、昨日伐り始めた場所と同じところを伐った。ところが次の日もまた次の日も、切り口が消えてなくなっているではないですか。きこりたちは途方にくれました。
そんなある日、身の丈九百尺もある大男が村にやってきました。そしてきこりたちに代わって伐ってやることになりました。ところが、いくら切っても翌朝には元通りに直っていました。
さすがの大男も困り果てていると、クスノキの上の方から下りてくるものがありました。それはヘクソカズラの精でした。ヘクソカズラの精が云うには、
「私たちはこのクスノキから養分をもらい、そのお礼に汁を出しで傷口を治しています。ところが、私の出す汁か臭いと云ってこの木が嫌がるのです。
この木がまだ小さいころからずいぶんかわいがってあげ、私が臭いお陰で虫もつかず、病気にもならず、嵐で傷ついてもすぐに治してここまで大きくなったのに私のことを『臭い、臭い』と嫌がるのです。あまりの恩知らずに腹が立ったので、この木を切り倒す秘伝を教えましょう。毎日伐っただけの木屑を焼き捨ててしまえばよいのです。」
それから大男やきこりたちは、ヘクソカズラの精が教えてくれた通り毎日その日の切りくずを焼き捨て、焼き捨てては伐りして、三年三カ月かけてこのクスノキを伐り倒すことが出来ました。
玖珠盆地や日田盆地は元々湖だったのが、大木が倒れ湖の土手が切れて水が流れてしまったそうな。木屑を焼いたところが「はんざい(今の寺山)」クスノキの先端が長崎、落ち葉の跡が博多、葉の流れ着いたところが斯波、その切り株が伐株山だと云われています。「玖珠」と云う地名もこの楠の大木に由来します。
また、倒された大木は中をくりぬき二百人乗れる日本一大きくたいへん速い丸木舟を造ったそうな。
おしまい
標高685.5mのこの山の地質、巨木の跡なら「珪化木」だと思うのですが(笑)。長崎から大分へ車で行く時は必ず通るので、とても馴染みのある山です。最近、車で登れることが判ったので行ってみた。その話はまた今度(汗)。
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